陸上(短距離)をしている方でハムストリングスを傷めた方の治療

陸上(短距離)をしている方でハムストリングスを傷めた方の治療

ハムストリングスの肉離れ後

社会人の方で、マスター陸上に出場している方が来院して下さいました。

症状は、1ヶ月ほど前にスタートダッシュの練習をしている時にハムストリングに強い痛みを感じたそうです。
歩くのも痛い状態だったので翌日、病院へ行ったそうです。

診断は、ハムストリングスの肉離れ

受傷後は、普通にあることができないほど痛かったそうです。
そこから約1ヶ月が経ち、徐々に日常生活ではだいぶ普通に動けるようになって来たのでそろそろ走れるかなと思って軽くジョギング程度までやってみたそうです。
この程度の動きであれば痛みはなかったそうです。
とはいえ、これよりもスピードを上げれる感じはしなかったそうです。

こうなってくると何を基準に動いていいかがわからなくなってしまったそうです。

おっしゃる通りだと思います。

歩いたり階段の昇降が大丈夫になっても、いきなりダッシュができるわけでないのはイメージが付きますよね。

徐々にとは言っても何か目安はないのか。
そもそも動いて良いのか?
など素朴な疑問はありますよね。

ネットで検索して調べるが・・・

これはよく聞く話のひとつですが

ネットで検索したりYoutubeを見てみても自分の症状に当てはまるのかどうか。

同じじゃないなとは、分かっていても似たような症例(情報)を真似てやってみても意味があるか。
疑問が拭えない方がたくさんいます。

個人的な意見ではありますが、やはりネット上の情報は参考にはなるががっちり当てはまることは難しい場合が多いように思います。

ここで専門的な知識とはどんなものか。
参考程度になりますが、私が行っているアプローチの一部を紹介いたします。

走る時の身体の使い方

私なりに陸上競技に長年関わってきたのでそれなりに走ることの理解をしているつもりです。
とはいは、今どき情報も沢山でているので同じように診ているんだと思っていました。
しかし、当院を訪れた患者さんを通して分かって来たのが私が想像していたよりも、走る行為に対して動き(パフォーマンス)の分析しているんだということが、分かったくらいなんです。
分析できるようになった理由は、私自身、陸上競技でもオリンピックや世界陸上に出場するレベルの選手らと10年以上関わってきた経験。ここで得た選手とのやりとりは今でも財産となっていますが、多くのことを学ばせてもらったと確信しています。
為末選手ら(トップアスリート:陸上)を継続的にを診ていた時期は、常にレベルの高い選手しか関わることがなかったので、ある意味毎回関わることが楽しく刺激的でした。その反面過酷でもありました。
それは、結果がでなければ相手にされないと私自身がいつも思っていたからです。
事実、ハムストリングスやふくらはぎを肉離れしたケースは数知れず経験しています。
それも世界陸上やオリンピックの本番直前の合宿中に起きたこともあれば、大会の予選でピリッと違和感がでた選手まで様々にシチュエーションで受傷した選手をみてきました。
その分、試行錯誤もたくさんして来ましたので、私なりの評価・分析も今では確立しています。
一番難しいのは、復帰へのプロセスをどう組み立てれるか。
当然、本人の訴え(回復度合い)を聞きながら機能的な評価をしながら運動強度をどう決めていくことになりますが、このイメージも他種目にも応用しています。
この判断は正直経験がある分、どんな練習をしているかを細かく理解した上で対応できますが、理論的な部分での分析もしています。ちなみに陸上競技の場合、ただ走るだけではないので細かい動きの確認や練習の意味は何かまで深掘りしていくことになります。

100mを走るだけでも走る局面を分解して考えなくてはいけない

ヨーイ。。。。ドン!!
スタートからゴールまで
大まかにですが走りの局面を分解して考えていかないと競技復帰に向けての練習復帰のアドバイスはできません。

今回お越し頂いた方は高校時代まで陸上部だった方だったため、スプリント練習の内容や組み立て方などは私が関わったアスリート達にように細かくはなく、ざっくりと100m走の練習をされていたようでした。
かなりざっくりとですが復帰の為の日常生活から練習開始の目安を列挙してみます。

かなりざっくりとですが復帰の為の日常生活から練習開始の目安を列挙してみます。

  • 靴の脱ぎはぎ
  • 歩く
  • 階段の昇降
  • 早歩き
  • ゆっくり軽く走る(小走り10m程度)
  • ジョギング(軽め)
  • 階段昇り(踏み込んで、駆け上がれる)
  • ジョギング(しっかり踏み込んで)
  • 軽くスピードを上げて(30%)
  • 徐々にスピードを上げて(50%)

どの段階でも急にスピードを上げることや急に止まることは注意が必要です。
体重をかけて踏み込んだ動きになった時にどうなのか?
ある程度走れるようになってピッチを上げれるか?
少しずつストライドを伸ばしていけるのか
ちょっとした動きで『ピクン!』と筋肉が収縮することがあります。
これは想定よりも負荷が強すぎているときに起きがちです。
本人は、一瞬また傷めたかも!?て思うくらいピクんとくることがあります。
この強度を上げていくタイミングが一番難しいと思います。

バラスが大事

もちろん見極めの判断は、いろいろありますがこれは専門的な知識をもっているものとやりとりをした方がいいと思いますのでここでは記載を控えておきます。
一般的なリハビリの流れは以下

  • 柔軟性の確保
  • 適切な筋肉の収縮(段階的に徐々に負荷を上げていく)
  • 代償運動の確認しながら走る動作につなげていく

練習内容を細かく設定

急な加速や無理にストライドを伸ばしていくのが一番危ないです。
徐々に走る局面を考えて動いていくことをお勧めします。

まずは、日常生活で歩けるようになったら歩きながら動き作り。
この時、痛みや怖さがないことが条件となります。

・地面との接地の感覚
特に体幹を意識した接地(足ー膝ー股関節ー体幹(ローアーコア)
・乗り込み
・徐々に加速
・等速運動(一定の速度を保つ)
などなど

徐々に強度を高めていきます。
もちろんこの間にバイク(自転車)などを使って有酸素運動を開始してもOKです。

陸上競技も種目(幅跳びや、長距離、投擲など)によって練習内容が違います。
また、競技種目(球技系、対人系、乗馬など)に応じて細かくアドバイスをさせていただいています。

陸上競技に関わらずご本人が行なっている競技に合わせた復帰のサポート(内容)をお伝えするようにしています。
種目、競技レベルに応じた対応をしております。
お困りの際には是非ご来院ください。

なお、当院は、完全予約制となっております。
お手数ですが、事前に予約をお取り頂きますようお願い申し上げます。

TKC BODY DESIGN
曽我武史
03-5726-8437
目黒区平町2-16-21ーB1
https://www.tkc-bodydesign.com
info@tkc-bodydesign.com

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