鍼灸

鍼灸治療とは

鍼・灸とは

鍼灸師が仕事で使う「はり」,「きゅう」はどんなものかご存知でしょうか？
これまでに鍼治療を体験したことがない方の「はり」のイメージは、やはり注射や裁縫などの“針”を想像する方が多いのではないでしょうか？そして、痛い！というイメージがほとんどです。しかし、鍼灸治療で使う“鍼”は、実は全く異なります。

注射針と鍼の太さを比較してみましょう。
医療機関で使用している一般的な注射針は、液体（薬剤）を注入する為、針の太さが0.4～1.6㎜程度となります。しかし、鍼治療で使用する針は、髪の毛ほどの細さで0.12～0.25㎜かなり細いものとなります。しかも、細いだけでなく、先端も丸みを帯びて作られているので、体に刺した時の痛みもほとんど感じないのが特徴です。最近では、美容鍼でお顔の施術に使用する鍼は、0.10～0.12㎜程度です。感じ方には個人差がありますが、ほぼ痛みを感じることはありません。私も歯科医の先生とコラボして顎へのアプローチ（美顎鍼）をしています。

鍼灸治療には多様な方法があります。同じ道具（針）を使用しても担当する先生によって刺激の仕方も効果も違います。一般の方からは、「どの鍼灸院でも同じ免許を持っているのだから、同じような施術をするのではないか」と思われているかもしれませんが、実はここには大きな差があり、アプローチの方法も多種多様です。

アプローチも多種多様

昔から伝えられて来ている東洋医学の考え方。これは、4000年前から存在する東洋医学の視点から脈診や舌診、腹診など体調をいろいろな視点で評価し、体調の浮き沈みをゼロに戻す為に、経絡を言われるツボの道を使って調整していく方法。

これとは違って、痛い部位や筋などの緊張の高い部位に打っていく方法があります。近年では、カラダのコリや動きの悪さの原因（生態反応）も分析が進んできています。皮膚から下の組織（ファッシア）に脂肪や血管、神経、筋膜、筋肉といった組織があります。このファッシアにアプローチすることで様々な変化を出す事ができます。この部分へのアプローチを正確に行うことで関節の動きや皮膚の動きを変えていくことができます。そのひとつに私は鍼治療を使用することがあります。

特に反応の良い方は、針を打った瞬間に『ふわっ』と緊張が解けることがあります。この即時反応を狙って指先で捉えたピンポイントにスッと針をいれていきます。

基本的には、即刺即抜（一瞬で刺して、一瞬で抜く）方法と刺して針先で狙っている患部の状態を感じながら針を操ることをします。また、顔や顎周りに打つ場合には、置針法（刺した後にしばらく置いておく方法）など目的に応じて使い分けています。私はあまり使用しませんが刺した針の針柄（しんぺい）に艾（もぐさ）を乗せて温熱灸をする方法もあります。

参考までに「きゅう」は、ヨモギを原料としている“もぐさ”を使用しようしますが、近年では、煙が出ない温灸もあります。どちらも皮膚の上に直接もしくは台座（筒）を置き火をつけることで熱を発生させその熱伝導を利用して生態反応を促す治療が”お灸”です。
怪我などで腫れがある時や打撲して皮下出血している時には使用することがあります。これは吸収をよくしてくれる働きがあるので鍼治療と併用することもあります。
他にも棒状の物を皮膚にかざして輻射熱を利用するタイプ(棒灸)もあります。どんなタイプお灸を使用するかも担当によって異なります。

鍼灸治療が有効な主な症状

『肩こり,慢性腰痛,頭痛,自律神経系,ぎっくり腰、四十肩,婦人科疾患,冷え性』
などの他にあらゆる症状に効果を発揮します。

〜鍼〜

指圧やマッサージでは届きにくい硬結部位にピンポイントでアプローチできるので,
マッサージより筋肉の緩みを感じられ、効果も速攻性があるのが特徴。

〜灸〜

当院ではあまり使用しませんが、お灸を併用して腫れた患部や皮下出血を早く吸収させることを目的に使用する場合があります。

使用する鍼は髪の毛程度の太さで衛生面でも安全な【エチレンオキサイドガス滅菌済み】の使い捨て針を使用しています。使用後が再利用することは絶対にありませんので、安心して施術をお受けください。また使用する機材（鍼管やシャーレなど）は、使用後に医療機関と同じようなオートクレーブ（滅菌消毒器）にかけて衛生管理をしています。

ファッシアリリース（筋膜リリース）

ここが痛い！へんな感じが気になる。このご自身が感じている症状に必ず原因があります。しかし、この痛みも再現ができる場合とできない時があります。そんな時、必ず言えることがあります。それは、痛みを誘発する要素のひとつに身体の捩れや関節の動きの悪さが伴っている事がよくあります。筋肉の緊張が強い場合（コリが強い）、その影響は血管や神経を圧迫し、様々な部位に負担が掛かっている事がよくあります。結果的に、筋肉や関節に負担が掛かかり痛みや違和感を感じているという仕組みです。

最近では、皮膚の下にある組織（神経、血管、筋膜、筋肉など）が本来のあるべき状態にないことが研究結果からわかってきています（組織間での癒着や滑走不全など）。一昔前前までは何でも炎症が起きていると考えられていましたが、近年ではそれだけでは無い事がわかってきています。動き方そもそもが痛みを誘発してしまっている場合もあります。または、痛みを庇うことを繰り返す事で治りにくくしていることも想定できます。

これまで私も様々な仮説を立てて対応してきていますが、おおよそこの仮説は正しいと確信に近づいていという印象です。近年では、筋膜と表現される場合もありますが正確にはファッシアという組織になります。そして、そのアプローチがファッシアリリース。とても高度な施術技術ですので、まだまだ奥の深い世界ですが、これもかなり習得して再現できるようになってきています。指先がほんの僅かに触れる程度の圧から、皮膚表面を撫でる擦ることでも大きな変化を生み出す事ができます。今後主流となるテクニックになっていくと思われます。施術を受ける方の負担も少ないのでオススメです。

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