2014年7月に書いた記事を、2026年10月に読みやすく手直ししました。文・TKC BODY DESIGN 代表 曽我武史
踏ん張った瞬間のけが
段差を踏み外して足元のバランスを崩して、踏ん張った瞬間に、ももの前の筋肉(大腿四頭筋の一部)を断裂してしまった方(60代男性)がいました。あまり遭遇することはないケースですが、私はこれまでにお二人関わったことがあります。すでに医療機関で縫合の手術を受けており、当院には「患部の状態を良くしてほしい」「リハビリを見てほしい」というご要望で来られました。

「医師からはあとは地道に」の先
縫合した部分の傷や炎症状態は、だいぶ安定しており、片脚でのしゃがむ動作や両足荷重でのスクワットもできるところまで回復していました。医療機関としては、経過は見ながらも、あとは地道にトレーニングをしてください、という経過診察だったようです。
この状況を踏まえて、まず、私の方でできることを行いました。まず、筋力、筋量が落ちていることが多いため、膝から少し上の太ももの太さを測ります。これは、内側広筋という膝を安定させる筋肉になります。この筋肉のボリュームの左右差を確認しました。この時点ですでに3センチ以上の左右差がありました。筋肉は、使わなければみんな一様に萎縮します(小さくなる)。ここでもう一つ大事なことがあります。これは、収縮する反応のスピードも大事なチェックとなります(直ぐに力が入る)。これがいまひとつ鈍く、これはご自身もなんとなく足がおかしいなとはおもっていたようです。縫合した傷口も、まだ腫れが残っており、すっきりしない状態。もともと身体が硬く、身体の感覚もつかみにくいタイプの方で、いろいろなリハビリメニューを続けていたものの、いまひとつ身体にはまっていない様子でした。
動きを確保しながら、少しずつ
施術で凝り固まった身体をほぐします。膝以外の股関節や足首、腰を含めて動きやすさを取り戻すように施術をしました。痛みや動きにくさがあると自然とからだはこわばった状態となりがちです。ほぐれることで、筋肉と神経の反応がよくなります。
こうなると動作の修正もしやすくなるので患部の膝回り以外も触らせて頂いています。その上で、まずは膝を安定させるための、基本的な動きから確認していきます。
この日は、テーブルと踏み台を使ってリハビリをしました。

続けられること、分かること
リハビリはアイデアも大事ですが、何より「続けられること」と「理解すること」を大事にしています。正直、身体はなかなか変わりません。説明する側がどれだけ一生懸命でも、取り組むご本人が納得していなければ、期待した結果にはつながりません。
少しずつステップを上げていくこと。そして、ご自身でもできるところまで、しっかりサポートするようにしています。
もともと片脚スクワットはできていた方ですが、まず確認するのは、綺麗に膝が伸びるのか。この膝が伸びるにも2種類のタイプがあります。わかりやすく一般的には0度(膝がまっすぐ伸びる)タイプと、膝が少し反る(過伸展)するタイプがいます。
この確認は、左右を比べることでおおよそ確認できます。そして、先ほど出てきた膝周囲の筋肉(内側広筋)は、膝が 0 度から 30 度の間で働く筋肉となります。これは段差や階段で足を伸ばして着地する瞬間の角度と同じになります。この角度でしっかり筋肉が働くことが大事になります。リハビリの方法は簡単です。バスタオルぐらいの大きさのタオルを折りたたんで、膝下に置きます。それを押し潰すようにして、膝をピンと伸ばす動作となります。この時大事なのは、足首を手前に引きながら膝を伸ばしてあげることです。このリハビリは荷重をしての動作ではないため、一番負担が少ないリハビリとなります。この方の場合は、すでに歩行もできているため、動作の確認だけしました。次は体重をかけての確認です。すでに両足荷重でのスクワットもできますし、階段も上り下りができるようになっているので、動作時の収縮と股関節周りの運動がしっかりできているかを確認させてもらいました。
この日は、まだ動作はできていましたが、しっかり筋肉で収縮するということはできていなかったため、角度と収縮感を確認しながらリハビリを覚えていただきました。これを安定して続けられるようになれば、身体の反応として成果が見えてきます。
日常生活では、ご自身の体の前に手を置いて、体を安定させた状態で少ししゃがむという動作。これを丁寧に行うようにお願いしました。膝を安定させるとともに、お尻や股関節で支えるという意識、これを持っていただくようにお願いをしました。ここから先は歩くこと、階段を上ること、降りることなどに発展させていくようにサポートさせてもらいました。



