2022年9月に書いた記事を、2026年10月に読みやすく手直ししました。文・TKC BODY DESIGN 代表 曽我武史
講座について
昭和大学(現・昭和医科大学)のリカレントカレッジ(社会人向けの学び直しの講座)で、2021年から、一般の方向けの講座を担当しています。
講座名は「オリンピックトレーナーと整形外科医から学ぶ 一生動けるカラダの使い方 〜怪我せず・痛めず・元気よく〜」。
誰でもできる簡単なトレーニングを通して、動き方のコツを学ぶ講座です。座学だけでなく、家でもできるエクササイズ(動き方のポイントやコツ)を、実際に体を動かしながらお伝えしました。

※講座の日程や内容は年度によって変わります。最新の情報は、昭和大学リカレントカレッジのページでご確認ください。
一生動けるカラダ
できることなら、いつまでも元気に動けるカラダでいたい。誰もがそう思いますよね。
私は仕事柄、人の身体に触れる機会(マッサージや鍼)があります。また、スポーツ選手のサポートが長いので、痛みだけを見るのではなく、動きのパフォーマンスまで含めて見立てる傾向が強くあります。
そうなると自然と、筋力の変化や、関節の痛みがどうして起きたのか、の仮説をすぐに立てていきます。
ある時はスポーツ選手、ある時は一般の方。年齢も性別もさまざまな方を、毎日そういう視点で診ています。
そして、いつも思っていることがあります。
動けないと、人は衰えていく

やっぱり、動けないとだめなんだな、とつくづく思います。
痛みが和らいで動きやすくなった方は、喜んで帰られます。そして、痛みが楽になっていくと、次は予防に興味を持ち始めます。
予防の方法はたくさんある。でも
課題は、何をすればいいのかが分かりづらいことです。
大事なのは、身体の原理原則をもとに取り組めているかどうか。
トレーニングには、少しずつ段階を上げていく、など基本的な原則があります。
とはいえ、負荷をかけるにも、関節の角度とタイミングがうまく合っていなければいけません。
そして、動かす方向。細かいポイントですが、知って動くのと、知らずに動いているのとでは、得られるものに差が出ます。

多くの方は、だいたい同じところが弱っていることも、臨床の経験から分かってきました。
予防や動き方については、アスリートとのやりとりで学んだこともたくさんあります。近年は研究も進み、自分が思い描いてきた考え方に、裏付けを持てるようになってきました。
アスリートだからできる?

そう思われがちですが、それは一部の超トップアスリートの話です。
運動をしていない方と比べれば、スポーツに真剣に取り組んでいる人の方が体力は高いのは事実です。ただ、「力を伝える」「力みすぎずに動く」という見方では、うまく動けているアスリートは意外と少ないと、個人的には思っています。
アスリートに限らず、続けていく中でコツをつかめれば、誰でも体力は上げていけると感じています。そこには、興味と根気が必要ですが。
一般の方はどうしたらいい?
大人の場合は、簡単な動きを正確に行うところから始めるのがいいと思います。
そして、なぜそれを行うといいのか。うまくできているときと、できていないときの「正解」を、自分で見分けられるようにすることです。
私自身、腰椎椎間板ヘルニアで苦しんだことがあります。
痛みが強くてお腹に力を入れることもできず、階段はそっと降りるのが精一杯。立ち上がるのも動くのも、歯を食いしばって何とか動いていました。それでもズキンと痛みが走る状態で、毎日が怖くて仕方ありませんでした。
解剖学や運動学を理解していても、強い痛みには勝てませんでした。
どうやって乗り越えたか
痛いときは、痛み止めを飲んだり、横になったりして、負担を減らしました。
そして、信頼できる方に治療(ねじれや歪みを整え、緊張を取ること)をしてもらいました。ブロック注射を受けたこともあります。
あとは、痛みが落ち着いているときに、お腹に力を入れる練習(体幹の安定)と、股関節の運動。
自分の経験から言えるのは、「身体はこう動くと良い」ということを理解して、簡単な運動を毎日続けることが大事だ、ということです。
これまで、トレーナー向けのセミナーや講義では、トレーナーを目指す方やインストラクター、パーソナルトレーナーなど、専門職の方々を相手に話をしてきました。昭和大学からリカレント教育のお話をいただいたとき、真っ先に思ったのは、一般の方向けならぜひやってみたい、ということでした。
確実にできることから
簡単な運動を、確実に、正確に繰り返すこと。そうすることで、ある程度の水準までは取り戻していけます。
ただし、条件がひとつあります。続けることです。
以前、落語家さんと一緒に、団地にお住まいの高齢の方を対象に、健康体操と落語の会を行ったことがあります。1回や2回の運動では、続かなければ身につきません。逆に、続けた方々には、確かな変化がありました。
ただ動いていればいい、というわけではありません。簡単な運動でも、関節の角度と、力の入れ具合が合っていることがポイントです。講座では、このコツをお伝えしました。
使わなければ、自然と衰えていく
体力は、使わなければ落ちていきます。これは自然の原理です。
当院には、85歳を過ぎた方も何人か通われています。
そのうちのお一人は、もう10年近く診させていただいていますが、今もお元気です。もともとは、膝が痛くて歩けない、立ち上がるときに痛くてどうしようもない、という方でした。
関節や背中は少しずつ変わってきていますが、今も自分の足でしっかり歩いて来てくださいます。
これは、施術が良いからだとは、私は思っていません。どちらかというと、ご自身でちゃんと動いているからだと思っています。
来るときはゆっくりでも、施術のあとは足が軽くなって、駅まで軽々と歩いて帰られるそうです。
施術をこまめに受ければ楽かもしれません。それでも、動けるときにちゃんと関節を動かし、踏ん張ることをする。そうすることで、状態を保ちやすくなっているのだと思います。
「どうして」の理論と、「こうすれば」の実技
講座は、昭和大学の整形外科医と一緒に担当しています。医師の立場から、普段の診察ではなかなか伝えきれない話もしていただきました。
ネットで病気やけがのことは調べられても、それが自分に本当に当てはまっているのかは分かりにくい。
どうして膝が痛いのか。どうすれば痛くないのか。
本当は、医師もそのアプローチや理由はよく分かっています。ただ、限られた診察時間の中で、すべてを伝えることはできない。それが今の医療の現場です。
怪我せず、痛めず、元気よく
この3つを軸に、何が必要なのか。
専門的な視点で分析し、内容はとにかく分かりやすく、誰でもできる運動からお伝えしています。
講座でお伝えしている主な内容は、次のとおりです。
- 現代人を悩ませる身体のトラブルの特徴(姿勢、体幹、呼吸、力の出し方の仕組み)
- 肩・首のトラブルの解消法(首と胸の姿勢、背中の意識、背筋を鍛える)
- 足腰のトラブルの解消法(体幹の安定、股関節を鍛える、歩く・走るを考える)
- 動けるカラダの仕組みを知り、バランスを整える(体幹を安定させながら手足を動かす、上半身の柔軟性、ステップアップ&ダウン)
講座に来られない方も、当院では、その方の身体に合わせた動き方のコツをお伝えしています。お気軽にご相談ください。



