2022年5月に書いた記事を、2026年10月に読みやすく手直ししました。文・TKC BODY DESIGN 代表 曽我武史
筋肉は、本来やわらかいもの
筋肉は、使いすぎや疲れによって、やわらかさを失うことがあります。縮む、硬くなる、凝る、張りが強くなる、といった状態です。
オリンピック選手レベルのアスリートのサポートを中心に活動し始めた頃は、筋肉の張りと関節の動きを意識して触っていました。最近は、骨や、関節・腱などの組織の動きもイメージしながら触っています。
なぜか
競技レベルの高い選手たちは、そもそも動けていることが前提でした。なので、そこまで気にしなくても、筋肉の張りを変えて動きやすくしていくだけで、ある程度のところまでは変えられました。
たとえば、関節の動きが悪い。動きづらい骨(正確には、隣り合う骨と骨の間の関節)は、どうして動かないのか。昔は、そういう疑問がありました。
今は、見方がまったく違います。どんな状況でも、骨が動くのを邪魔している組織を探していきます。昔よりも、ずっと細かく診るようになりました。
多くの場合、筋肉が硬いのではなく、筋肉があるべき位置にいないために、骨が連動して動けなくなっている。この意味が分かってきました。
最近は、筋肉の位置を整えることを意識して施術しています。それによって、動く範囲が広がりやすくなりました。
私自身の感覚では、筋肉をむやみにほぐすのではなく、筋肉の位置を変えるというイメージです。これは、筋膜リリースや組織間リリース(ISR)という手技を学んでから、特に大きく変わってきたと感じています。

現場では、変化が求められる
当たり前のことですが、アスリートの現場では、その場での変化が求められます。特に合宿や遠征では、それができるかどうかがポイントになります。簡単に言えば、短い時間で結果を出さなくてはいけない。
これまで私が持っていたイメージでは、強く押しすぎると、筋肉が力を出しにくくなる感覚がありました。いわゆる強もみのマッサージや、強い刺激の鍼です。
今のアプローチは、筋肉の位置を元に戻すことで、皮膚や筋肉もやわらかくなり、軽く動かすだけでも動きがスムーズになっていきます。これは、プロのダンサーやアスリートだけでなく、一般の方々に行ったときの感想でもあります。
筋肉の位置を変えられるようになると
次は、隣り合う筋肉や組織との境目をはっきりさせていくことができると、もっとスムーズに動けるようになると考えています。これも、指先で少しずつ分かるようになってきました。
とはいえ、ここまでお伝えできるようになるまでにも、だいぶ時間がかかりました(半年から1年ほどは試行錯誤の連続でした)。まだまだ訓練が必要ですが、精度を上げていけるように取り組んでいます。
これを行うには、骨の正確な位置、筋肉の位置、そしてその筋肉が本来どこにいるべきなのかを理解していることが必要です。どこまで極めればいいのか。人の身体はまだまだ未知の世界ですが、だからこそ面白いと感じています。



