2015年6月に書いた記事を、2026年10月に読みやすく手直ししました。文・TKC BODY DESIGN 代表 曽我武史
とても多い相談
「けがをして痛い。でも、試合には出たい」
実際私が関わることが多い相談です。
オリンピックの緊迫した場面でも、強化合宿でも、ふだんの練習でも、こうした場面には何度も立ち会ってきました。試合がすぐそこに迫っているときほど、限られた時間の中で状況を判断し、できることを徹底してやります。
そのとき、いちばん先にするのは状況の判断です。
試合の1週間前に、足首をひねった
以前、練習中にけがをした選手から電話がありました。前の日に、試合に向けて調整(治療)したばかりの選手です。翌週に大事な試合を控えていて、病院に行くべきか、家で安静にしているべきか、迷っていました。怪我してすぐに私のところへ電話をして、状況を説明。しかし、見てみないことにはなんとも判断しにくい様子でした。症状は以下、足首を強くひねったとのこと。こういうけがは、靭帯の損傷だけのこともあれば、骨折を伴っていることもあります。実際に患部を診てみると、靭帯の損傷に加えて、ピンポイントで局所に痛みがあり、骨折の可能性が否定できませんでした。すぐに医療機関での検査をお願いしました。
幸い骨折はありませんでしたが、腫れと痛みは残っていて、週末の試合に出るかどうかの判断が迫っていました。
最初に決める2つのこと
ここで、トレーナーとしての経験が役に立ちます。私が最初にはっきりさせるのは、次の2つです。
- 何ができないと、試合にならないのか
- 何ができれば、試合に出られるのか
施術で痛みを抑えられる場合もあります。ただ、このときは、痛みを和らげることはできても、すべてを消すことはできない状態でした。
そこで使うのが、テーピングです。

競技に合わせて巻き方を考え、自分でも巻けるように
テーピングは、関節の動きをコントロールして、安定させたり、動く範囲を制限したりできます。基本の巻き方はありますが、実際には競技に合わせて巻き方を変えています。
歩くだけならこの巻き方でいい。でも試合に出るなら、しっかり補強しないと怖さが残る。いちばん難しいのは、巻き加減です。
私が帯同していれば私が巻けばいいのですが、そうはいかないこともよくあります。そうなると大事なのは、選手が自分の感覚で、同じように巻けるようになることです。大事なポイントを分かりやすく伝えて、自分でも巻けるようにしておきます。
無理をさせてはいけないときもある
競技のレベル、その試合にかける想い、時期とタイミング。無理をしてでも出なければいけない試合なのか、そうではないのか。こうした情報は、判断にとても大切です。
場合によっては、無理をさせてはいけないこともあります。その判断も含めて、選手と一緒に考えなくてはいけません。トレーナーという立場で説得することがいいとは思いません。選手、コーチ、トレーナーが納得できる判断をすることを大切にしています。
患部の状態を理解した上で、競技の特性を確かめる。
それができれば、あとはそのときにできることを、臨機応変に判断していきます。メリットとデメリット。無理した分だけリスクを負うことも視野に入れておくことは大事です。



