2022年6月に書いた記事を、2026年10月に読みやすく手直ししました。文・TKC BODY DESIGN 代表 曽我武史
ご縁があって、プロのバレエダンサーを診ることになりました。

バレリーナは何度も診ていますが、バレエ団に所属するプロのプリンシパルは初めてでした。
プリンシパルレベルの方の身体はどうなっているのか。個人的に、とても興味がありました。
何に興味があったのか
可動域よりも、どうからだを操っているのか。
どこが発達しているのか。
どんな感覚でバランスをとり、踊っているのか。
これが知りたかったのです。
もちろん、ご本人が気になっている部位を評価しながらになります。
ご自身の調子の良し悪し。理想とする身体の使い方。自分ではコントロールしきれない部分(動きの癖)。
痛みの状態から動き方の仮説を立てて質問しながら、舞台に向けたバレリーナの世界を伺うことができました。

実は、ちょうど2週間後に舞台(しかも演目は『白鳥の湖』)がありました。ここまで作ってきた身体の調子もあるため、こちらの感覚(仮説)だけで、筋肉の張りや動きを変えすぎてはいけません。
ほぐれれば良い、柔軟性が高まれば良い、という世界ではないのです。
これはトップアスリートのサポートでも経験してきたことですが、本人の感覚と実際の身体が大きくずれてしまうと、それを修正する作業が必要になります。平たく言えば、困るのは本人になってしまうのです。
バレエ特有の、足と手の使い方
想像ではなく、実際にどう使うのかを直接聞くことができたので、私にとってはなんとも贅沢な時間でした。
イメージしていた通りの部分と、言われて初めて気がつく部分がありました。
それでも共通していたのは、痛みがあると、それをどうしてもかばう(代償する)動きをしているということ。
これは、どのジャンルでも、プロレベルの方々によくある話です。
それでも、やらなくてはいけない。ちょっと動きをごまかせば、見た目はほとんど変わらずにこなせてしまうのが、プロレベルの方々の特徴でもあります。
ただ、そのごまかしを、自分で分かってやっているのか、そうでないのか。
弱い部分がある

痛みが出る原因として、弱い部分があることがあります。
時期のタイミングはありますが、弱い部分に慢性的な課題がある場合は、そこを強くしなくてはいけません。
本人が分かっていることもありますが、気がついていないことも多いように感じます。
このあたりは、いつも通り、本人のイメージと実際のすり合わせをしながら、動きを理解して、理想に近づけていきます。
動きの修正といっても、痛みがあると、どうしてもやりたい動きができません。
私の仕事
原因と、かばうことで生まれた課題を見つけて、改善のお手伝いをすること。
痛みなく動ける状態に変えること。
理想の動きにつながる動き方を提案し、一緒に確かめること。
そして、いちばん大事なのは、痛みとの関連も含めて、全部のつじつまが合うかどうか(仮説)です。
本人が言うことに「気のせい」はない、と思っていつも診ています。
痛い。違和感がある。怖い。なんとなくできない。
そのどれにも、どこかに向き合うべき部分があります。
そこをいかに見つけられるか。ここがこの仕事の醍醐味でもあり、経験と知識を活かして、日々向き合っています。



